後ろむいても何もないよ

攀じる意味を追求する日々

北壁の七人 カンチェンジュンガ無酸素登頂記 小西 政継

小西氏は山で生涯を終えた人。 何を持って“ヤマ”に惹かれていったのか、その人の心情、生き方に興味がある。 山で生涯を終えた人が「みた」本に興味を持って手にした。

昭和50〜60年代のアルパインライミングの雰囲気がわかる本。

しかも、億単位の山行計画のため、大手新聞社やテレビ局などのスポンサーの協力を頂くための交渉や本番前後に起きる両者間の摩擦、どうマネジメントすべきか乗り越えていく様子が書かれている。

その頃の小西氏は無酸素にこだわりが凄く、何故そこにこだわるのかこの本を読むと少しは理解できたと思う。

ルート工作の苦労、頂上までのルート上で休むためのキャンプ設置の苦労、個性が強いチームを束ねる苦労、数々の苦労がひしひしと伝わってくる。

無酸素で7000mあたりでテントに泊まるとき、酸素が足りずテントの入口を閉めて寝られない、寒かろうが入口の近くの場所で開けたまま寝ていかないと苦しい・・という生々しい話もある。

鯉が口をパクパクさせて少しでも酸素を吸うという表現はなるほどと思った。

実際に富士山で登った時、そういう経験を試してみたら案外と効果が出たもの笑

読んでおいて損はないおすすめの一冊。