後ろむいても何もないよ

攀じる意味を追求する日々

グレーディングシステムについて

ルートを調べたりしているとクライミンググレードのいろんな表し方を見かける。

5.11a+ とか 5.13c/d R とか。

その都度、いろんなサイトや本で調べてしまったりするので、忘備録としてまとめる。

※ 間違いなどがあればコメント等でお知らせいただけると嬉しいです。

※ 最後に参考になった文献を紹介しているので、いっしょに読んでもらえたら。

デシマルシステム

フリークライミングのグレード。

YDSと関連がある。YDS(Yosemite Decimal System)についてはここで解説は省く。

http://en.wikipedia.org/wiki/Yosemite_Decimal_System

Yosemite Decimal System - Wikipedia, the free encyclopedia

「5.6」とか「5.10c」とかルートの難易度を表している。

読み方は「5.6」なら「ファイブシックス」、「5.10c」なら「ファイブテンシー」と呼ぶ。

「5.*」はClass5で、より優しいグレードが下記の通り。

クラス種別 概要
Class1 ハイキング
Class2 時々手を使った簡単な登りがある。
Class3 ロープを使った簡単な登りがある。
Class4 簡単なクライミング。たまに危険な場所があり。しばしばロープが使用され、プロテクションはナチュラルプロテクションが容易に使用できる。このクラスでの墜落は命にかかわることがある。
Class5 いわゆるロッククライミングである。ロープを使用し、ナチュラルプロテクションや人工的なプロテクションをリード時に使用する。

各レベルの4段階表示

  • 5.10a
  • 5.10b

というように各レベルの難易度をさらに細分化したものが「a,b,c,d」の4段階表示。

aよりdの方が難しくなり、「5.10a」という感じで表す。

5.10からその表示を利用。5.9はほとんど利用するケースを見かけない。

"+","-"記号

そのケースも最近よく見かける。

調べてみると日本とYDSでは別の意味だそうだ。

種別 YDS 日本
+ そのグレードで十分な厳しさがある a~b
なし b~c
- そのグレードレベルとして数ムーヴしかない c~d

"♂","♀"記号

トポでも見かける。

例えば5.10a、♂とか。

その場合はパワー系だそう。

♀はムーヴ系のルート。

※ Twitterのフォロワーさんに教えてもらいました。ありがとうございます。

プロテクションのセット困難さをグレードに付記する

グレードの中にプロテクションの困難さ、ランナウトするという危険性まで考慮されていなかったので1980年にJames Ericksonという人が"seriousness rating"を紹介した。

種別 解説
PG-13 薬の名前ではない。プロテクションが十分取れていて、正しくセットしていればロングフォールの危険はない。そのような付記はまず見られない。
R プロテクションが取りづらい状態。ロングフォールする可能性があり。リーダーがフォールしたら怪我する。
X プロテクションが取りづらいか、取れない状態。ロングフォールする可能性あり。ロングフォールした場合は、死ぬか大怪我する。

日本でそういった付記が見られるのは下記の通り。

  • 錫杖岳 しあわせ未満 5.13c/d R (初登者 佐藤裕介)
  • 錫杖岳北東壁右ルンゼの氷柱 WI6+ R (初登者 佐藤裕介 横山勝丘)

エイドクライミング

エイドクライミングのグレーディングはフリークライミングとは違いclosed-end(上限あり)。

このグレードはプロテクションのセットの困難さや、プロテクションの質に対してレイティングされている。

グレードはA0~A5とC0~C5の2種類あり、"A"は"aid"を意味し、ピトン、ボルト、チョック類を使用する。

"C"は"clean"を意味し、岩を傷つけないチョックやSLCD等でのぼる意味を指す。

エイドクライミングではピトンのセット&回収はクラックの幅を広げることになり、ルート自体が段々優しくなる傾向になる。

また下向きのクラックや極細、極太のクラックにもセット可能なSLCDが開発されたおかげで、より一層グレードは下がる。

種別 概要
A0 or C0 残地ピンを使用して登る。
A1 or C1 セットが簡単。ほとんど全てのプロテクションが墜落に耐えられる。掴みながら登ることは"French Free"と言われることもある。
A2 or C2 まあまあプロテクションのセットが良い。でも注意を要する。良いプロテクションの間に2~3個の悪いプロテクションがある。
A3 or C3 難しいエイド。1ピッチリードするのに数時間かかることもある。重大な怪我をしない程度で18~24m位の墜落の可能性がある。各プロテクションのセットには効き具合をしっかりテストする必要がある。
A4 or C4 深刻なエイド。24-30mの墜落の可能性があり、下地も悪い。プロテクションは墜落に耐えられず、自分の体重のみしか耐えられない。
A5 or C5 1ピッチ中にプロテクションは自分の体重のみしか耐えられないものしか得られない。ボルトのようなしっかりしたプロテクションはない。リーダーが墜落すると90mくらいの墜落の可能性がある。すわなりプロテクションが全てはずれる。落下係数2に近い。

各数字の間に"+"記号が記載されている時があり、例としてA5+はビレイ点が悪く、墜落すれば全てがはずれてグランドフォールする、という意味です。

ボルダリング

次はボルダリングのグレード、昔々ボルダリングの神様John Gillと言う人が作った。

グレード 概要
B1 ハイレベルのクライミングが要求される。YDSのムーブにすると、5.12-13
B2 その時代の最高難度のクライミングのムーブがでてくる
B3 たった1回しか登られていないボルダー。2登されるとB2に下がる

と非常にシンプルな分類で1970年頃に定義されたもの。

最近はopen-endのV-scaleシステムが定着されている。 (参考文献 Montaineering)

Decimal(アメリカ) 段級グレード(日本) V grade(アメリカ) フランス
5.2
5.3 10級
5.4 10~9級
5.5 9~8級
5.6 8~7級
5.7 7~6級 V0-,V0 3
5.8 6~5級 V0+,V1 4
5.9 5級 V1 5a
5.10a 5~4級 V1,V2 5b
5.10b 4級 V2 5c
5.10c 4級 V3 6a
5.10d 3級 V3 6a+
5.11a 3級 V4 6b
5.11b 2級 V4 6b+
5.11c 2級 V5 6c
5.11d 1級 V5 6c+
5.12a 1級 V5 6c+
5.12b 1級 V6 7a
5.12c 初段 V7 7a+
5.12d 初段+ V8 7b
5.13a 二段 V8 7b+
5.13b 二段+ V9 7c
5.13c 三段 V10 7c+
5.13d 三段+ V11 8a
5.14a 四段 V12 8a+
5.14b 四段+ V13 8b
5.14c 五段 V14 8b+
5.14d 五段+ V15 8c
5.15a 六段 V16 8c+
5.15b
5.15c

RCCグレード

RCCグレード 概要 デシマル
まったくやさしい
三点確保
やや難しい(ロープ使用) 5.0~5.1
難しい(やや高度のバランス) 5.2~5.4
非常に難しい(高度のバランス) 5.5~5.7(Ⅴ-=5.5,Ⅴ=5.6,Ⅴ+=5.7)
極度に難しい(極度に微妙なバランス) 5.8~5.10a(Ⅵ-=5.8,Ⅵ=5.9,Ⅵ+=5.10a)

(参考)日本の岩場 グレードとルート集 第2次RCC

参考文献

Tips of Freeblast Mountain Guides

Rock Climbing Grading - Mountain Torq

岩壁登攀 クライミンググレード対応表