後ろむいても何もないよ

攀じる意味を追求する日々

NPO法人モンキーマジック代表の小林幸一郎さんの講演を聞きに行ってきた

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講演会場の立教大学。

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近くの並木道に咲いていた「きんもくせい」。秋を感じる。

この記事について

本講演はPCテイクによる情報を元に書いたもので、小林さん自身から話した内容と相違がある場合があります。

その場合はコメント等でお知らせください。修正いたします。

(PCテイク:サポートが講演内容を聞いてPCを利用してタイプした内容をプロジェクターでスライドするしくみ。)

講演について

妻が立教大で手話を教えている縁でそういう講座があることを知って参加してきた。

私自身、耳が聞こえないのでどういう感じで小林さんのお話を伺えるのかなと少し不安な感じで会場へいってみたら、PC(パソコン)テイクという文字の情報保証の用意がされていた。

PCでタイプしている状態をリアルタイムで投影するのではなくて、投影する内容を決めたら投影するという感じで見る人が混乱しないような専用ソフトを使って作業しておられた。

そういう講演会の場に参加するのは初めて?かも。

小林さんについて

小林さんは視覚に障害を持っておられて、今年の9月に行われたクライミングの世界選手権で優勝した人。

【世界に誇る驚異の日本人クライマー】パラクライミング世界覇者、小林幸一郎 | FINEPLAY

28歳に進行性眼病を発症したそうで、そこから数々の病院にみてもらったもの、返ってくる言葉は同じで、障害を追うことに対して失意の日々。

友人から別の病院を紹介してもらったのをきっかけにいってみると、今までと違った対応で、カウンセリングという形で障害をこれからどう付き合っていくかというお話ができたそう。

私は生まれつき聴覚に障害をもっているため、いきなり聞こえなくなったわけではなかった。

小林さんは28歳から徐々に見えなくなり始めているわけなので、辛い経験をしているはず。

そういう中で、親身に相談に乗ってくれる相手というのは大切だなと思う。

講演の所感

小林さんが目の病気で失明することで視覚障害を背負うことで「これからできることはなんですか?」とカウンセラーに問うと、

カウンセラーは

「あなたが、何をしたいのか、どのように生きたいのか、なのです。」

と。

そうだよね。うちもその話を聞いて強く頷いた。

私も山に登っているのだけれど、「耳が聞こえないことでもできる」というのを示したいのではなくて、自分自身がどのように登りたいのかだと感じた。

一般人へ伝えたいこと

小林さんが視覚障害として生きてきて感じたこと。

白い杖を見かければ視覚障害を持っている人ってわかる。白い杖=「視覚障害者かぁ」と終るのではなくて、

「障害そのものではなくその人自身を見る力、この社会には必要だと思う」

と語りかけていた。深い。

それを聞いてはっとした。

ろう者たちは自分の障害や手話について世間に訴えたりしている。

そういう活動に関わっている経験もある。でも、ちょっと厳しい言い方をすれば、人間そのものに魅力がある人ってあまりいなかったかもしれない。

何故なら、建設的な提案や相手を敬うような姿勢がなく、ほぼ批判に等しい内容が多い。そしてそういう経験を共有してそれを活動の動力源にしている感じがした。

逆に、小林さんの講演を聞いていると、一つ一つ言葉に温かみがあり、敬う姿勢が明確で恥ずかしいという思いをした位。

障害を持っている方がより住みやすい社会にしていきたいという気持ちは分からなくはない。

ただ、一歩間違えれば住みにくくなることもあるし。気を付けていきたい。

小林さん、いいお話をありがとうございました。

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講演のあと、立教大学のスポーツセンターにあるボルダリンク壁へ。

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視覚障害者と同じ環境でボルダリンク体験。

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立教大法学部4年で、日本代表のクライマーである羽鎌田直人さんと小林さんを囲んで。